2018年秋冬コレクションへの想い
私にとってコンプレックスは常につきものでした。
女性として可愛くなりたい。もっと細くなりたい。
どうすればもっと美しくになれるんだろう、どうすれば好きな人に素敵だと思われるのだろう。
お洋服と向き合う仕事をしていると、時にその想いがむくむくと膨らんでしまいます。
コンプレックスと良い関係を築きながら向き合ってくと、それはさらに自分を高めてくれる素敵なものになってくれるはず、と信じながらも時にその想いが行き過ぎて、とんでもなく落ち込んでしまう事もしばしば。
今回のコレクションの『寿楽の女』。
「寿楽」とは長生きをして、人生を楽しく生きるという意味があります。
ある日、電車のホームで可愛らしいマダムに出会いました。
花柄のカーディガンを着て、綺麗な白髪に真っ赤な帽子をかぶり、ゴールドのイヤリングが耳元を飾っていました。牡丹色の口紅がキリッとひいてあり、腰は曲がっているのに、スタイルが美しい。
この感覚はなんだろうと思いました。
「おしゃれ」と言うにはあまりにも簡単すぎる言葉で、うまく思いつきません。
マダムを見て、ふと叔母のことを思い出しました。
叔母はダークトーンのお洋服を身につけ、小さなレースのついたエプロンを腰に巻いています。
いつも玄関には季節の花を飾っています。毎年庭に咲くコスモスや、小さな水仙など。
ああ、素敵だなあと思いました。
叔母から感じる凛とした日本人女性の美しさ。私のコンプレックスが途端にぐんぐんと小さくなっていくような感覚でした。
そしてそんな彼女達の様子を今回のコレクションとしてイメージしました。
『寿楽の女』、年齢にとらわれず「女性」という性を心から楽しめるようなコレクションです。
いくつになっても、女性で良かったと思えるような華やかで嫋やかなコレクションに仕上がりました。
2018秋冬コレクションを是非、お楽しみ頂けたら幸いです。